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2010/05/01

運動生理学(2)

山梨大学市民公開授業「運動生理学」第2回目の講義の受講ノート。

第1章 運動と筋ATP代謝(続)

②解糖系(乳酸系)

・解糖とは、糖を分解するシステム。

筋肉内の糖を利用する

・解糖反応の過程でATPを産生する。

筋肉内の糖がなくなるまで筋肉を使える人はいない。

すなわち、筋肉内の糖が枯渇するということはない。

*ところで、体内に貯蔵できる糖は?

・体内には、グルコースとグリコーゲンしか貯蔵できない。

筋肉には、グリコーゲンとして貯蔵される。

グリコーゲンは、肝臓にも貯蔵される。

グルコースは、血中を流れている。

・細胞への流出入はグリコーゲンではなく、グルコースで行われる。

<補足1>グルコースローディング(カーボローディング)

・競技の4日前までに多めに炭水化物を摂る。

試合前に筋肉内にグリコーゲンが貯蔵される。

効果については、実証されているわけではない。

解糖系

グリコーゲン→→→グルコース

           |       |←ATP

           ↓       ↓→ADP

グルコース--リン酸グルコース--リン酸

                   ↓

フルクトース--リン酸

                   |←ATP

                   ↓→ADP

                   ↓

                   ↓

2×グリセルアルデヒド--リン酸

                   |←2NAD

                   ↓→2NADH+H+

2×グリセリン酸-,3-二リン酸

                   |←2ADP

                   ↓→2ATP

                   ↓

                   ↓

2×ホスフォエノールピルビン酸

|←2ADP

↓→2ATP

2×ピルビン酸→2×乳酸

・解糖系での反応で、グルコース1分子が2分子のピルビン酸になる間に2分子のATPが使われ、4分子のATPが生成する。

・最終的に、解糖系によりグルコース1分子からATP2分子が生成する。

・骨格筋では、骨格筋のグリコーゲンが直接解糖系に入り、ATPが1分子節約され3分子のATPが生成する(グルコースの場合には、グルコースがグルコース-6-リン酸になる反応で1分子のATPが使われてしまう)。

・解糖系の反応で律速(最も反応が遅い工程)となっているのは、グルコース--リン酸がフルクトース-1,-二リン酸になる反応で、酵素ホスフォフルクトキナーゼの活性をクエン酸が阻害する。

・糖(グリコーゲンやグルコース)を節約するために解糖系の反応をあまり進めたくない状況(休憩時に疲労を回復したいときなど)では、クエン酸を摂ることで解糖系を抑制することが行われている。

・クエン酸の入った酸っぱいものが疲労回復によいと言われているのはこのことを反映している。

・サッカーなどのハーフタイムにクエン酸を摂り、解糖系を抑制することにより、糖の消費を抑えている。

◎よく、乳酸は疲労物質で、疲れたときには血中に乳酸が蓄積すると言われるが、乳酸は決して疲労物質ではない。

それどころか、乳酸はATPの材料ともなっている。

しかしながら、ある局面では乳酸がパフォーマンスに影響していることもある。

<まとめ>

ⅰ)連続利用の際、筋肉内に生じる乳酸が、筋収縮を阻害する場合がある。

もうひと踏ん張りができないというシチュエーション。

しかし、筋肉痛は乳酸が溜っているのが原因というのはウソである。

相当強めの運動をしない限り筋肉内に乳酸が溜ることはない。

すなわち、自分の限界能力の6070%以上の運動をしない限り、乳酸が蓄積することはない。

ⅱ)解糖系の反応速度は、律速酵素であるホスフォフルクトキナーゼphosphofruktokinasePFK)によって決まる(調節される)。

疲労回復にクエン酸が有効なのは、クエン酸がFFKの活性を阻害して解糖系を抑制し、糖の消費を抑えるからである。

ⅲ)解糖系は、理論上は数十秒の連続使用で機能しなくなる。

ATP-CP系の8秒と合わせて41秒くらい。

200m400m走で中心的に使われる。

ⅳ)解糖系の反応速度は遅い(ATP-CP系の半分)

ⅴ)酸素を利用しない(無酸素系)

ⅵ)解糖系の諸反応は、細胞質内で行われる。

細胞質内のどの場所でも反応が進む。

2)有酸素系

・有酸素系の反応はミトコンドリア内でしか行われない。

ミトコンドリアが有酸素系の能力を決めている。

酸素を取り込んでミトコンドリア内に蓄える。

<補足2>ミトコンドリアは別の生き物であった。

ミトコンドリアは、別の生き物だったバクテリアが太古の時代に細胞内に入り、寄生・共生してきたと考えられている。

したがって、ミトコンドリア内には、バクテリア由来の独自のミトコンドリアDNAが存在している。

このミトコンドリDNAが種々の病気の原因ともなっている。

ミトコンドリアDNAは親のDNAと完全に一致し、しかも全て母親由来である。

そのことから、母親が、ミトコンドリア内で行われる有酸素系のエネルギー代謝に優れた能力、すなわち持久性運動能力が高い場合には、子供もその能力を受け継ぐと考えられる。

(女性長距離トップ・ランナーの子供は、優れた長距離ランナーになる素質を持っている。)

有酸素系の概略

TCAサイクル(クエン酸回路、クレブス回路)

Tca

・ミトコンドリア内にTCAサイクルが存在する。

・三大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)のどれでも使うことができる。

・長い時間の運動にも対応できる。

・GTPはATPと同じエネルギーをもつ(高エネルギーリン酸結合)

・電子伝達系において

1分子のNADHからATPが3分子

1分子のFADHからATPが2分子

産生される。

[設問]グルコース1分子を有酸素系までフル稼働させると、ATPは何分子産生されるか?

本ノートは、山梨大学市民公開授業2010年度前期(47月)の科目の中の教育人間科学部保健体育講座・小山勝弘准教授「運動生理学」の受講ノートを整理し適宜加筆したものである。

コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

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血液循環療法院・たかお

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